「なんとかなる」

NYCにいる頃に、知り合いのメイクさんが、

「このところ仕事がないの、どうしよう、アパート出ないといけないかも」。

と焦っていた。

彼女、離婚後娘さんと2人暮らし。

それは、大変だな。なんとか仕事が来ると良いが。

と他人事ながら心配していた。

しばらくして、彼女に会ったら、とても明るい顔をしていた。

あっ、きっと仕事が来たんだな。

とピンときたら、案の定、仕事が来て、少しまとまった収入になったようだった。

彼女、

「仕事が来たの。少しお金が入ったので、娘とプエルトリコに旅行に行ったわ。楽しかった」

と、その時の話を色々としてくれた。

自分も経済観念のない、お気楽生活を続けてきたが、

その自分でさえ、彼女の金銭感覚には驚いた。

しかし、振り返ってみると、彼女のような楽天的で人生を楽しむ人はアメリカにはたくさんいた。

なんせ、貯蓄率ゼロの国である(貯蓄はほとんど投資に回っていることが多い)。

多分、彼女のような人生観、生活感覚で人生を楽しむために旺盛に消費をする人がアメリカを豊かにして、その恩恵を日本やドイツが受けているのだと思う。

日本がこれまで輸出産業で稼ぐことができたのは、まさに、彼女のようなアメリカ人が中心になって、大量消費を続けてきたからだ。

現在、アメリカは中産階級が痩せ細ってきて、貧富の差が激しくなってきたとはいえ、まだまだ豊かで消費力は旺盛だ。

株価も暴落をものともせずに踏み上がっていく。

暴落も恐慌も、上昇への一過程だというのが、長期チャートを見るとよく分かる。

そして、この勢いのおかげで、日本のお父さんたちの年金運用も成り立っているのだ。

自分が、これまで、お気楽になんとか食えて来れたのも、元を辿れば、アメリカの消費者の旺盛な購買力に支えられていたのだと気がつく。

自分たちの現在の生活は、そういうアメリカを頂点とした資本主義ヒエラルキーに組み込まれている。それは中国も同じだ。

もし、中国が完全にアメリカとデカップリングしたら、中国は文革時代に戻ると言われている。日本は昭和初期の生活だろう。

多分、この行く末を見届けることは自分が生きている間は不可能だと思うが、あまりそんなことを考えずに、メイクの彼女のように、金が入ったら好きなことに使って、ただ少しは投資に回して、貯金はせず、明るく楽しく生きていきたいと思っている。

考えすぎは良くない。

考えすぎは「嘆き節」につながり運を降下させる。

明るく笑っていれば、福がやってくる。